レリック (hulu)
いわゆるね、異質な生命体が「何の罪もない人間」に忍び寄り、体を奪い、社会的地位すらも略奪する、こういうパターンのスリラー映画の元祖は「ローズマリーの赤ちゃん」があたりが第一人者だと思うのですね。ここで大事なのは「悪鬼は最後まで正体を明かしてはいけない」、この鉄則を守れるかどうかですね。リドリー・スコットの「エイリアン」では見事貫徹し、死に行く無様な様を数秒見せて終わり。細部の体つきは「次回をお楽しみに!」と言わんばかりに、観客のハートをしっかり射止めてしまう姑息な戦法。わたしはこの商魂たくましい演出に感涙すらした。やはり、処女作が大ヒットしたら、作り手だって創作意欲が湧くでしょう。「遊星よりの物体X」も、2度リメイクされましたし、「プレデター」も、番外編が3つも出来て、どれもがある程度ながら好調な興行成績を得た。これは、驚くべきことですよね。そして、亜流の作品が星の数ほど作られて、世の若者は熱病に冒されたごとくビデオ屋に足を運び、「クリーチャー」やら「スペースインベーダー」というバチモンをレンタルし、うかれて満面の笑顔で家路に急ぐ。こういうね、映画製作者の「作戦」に、不可能はない・・・と思いますヨ。これも、驚くべき史実ですねえ。
今回ご紹介する「レリック」なる、モンスターパニック一大叙事詩。世間では「カーペンターやフーパーに失礼だ!謝れ!」という、野次が飛び交いましたが、イヤ、これはこれでしっかりと作られている、単に吸血バンパイアが精気を吸ったり、肉体を盗み取ってしまうというバカみたいなザ・シングものこそ責められるべきで、ハリウッドではこの手法が常道と化しているのです。第一、これは異星人の侵略ものではなく、邪教徒ひしめくジャングルで信仰されて、崇められてきた「神」が、文明社会に手痛いしっぺ返しをするという、「因果応報」とも解釈できる「社会派ドラマ」と割り切るのが、真たるものでないかな、映画人は。
ただ、本編を見終えて、「何か釈然としない思い」が残るのは確かです。とにかく、化学方程式やら原住民の風俗など、「文系の思考回路しか持たぬわたしには辛いものがあった」。それも、博物館の研究員が討論しあう「科学+歴史論」の応酬で2時間進んでしまい、中盤は寝ておりました(笑)。
まぁ、それはそれとて、この映画には3つの新機軸があると思います。まずね、こういうSF映画としては珍しく残虐描写がむき出しになっている。単なる怪獣映画だと思ってみていると、いきなり首がねじきられます。残酷です。親御さんはご配慮を。そして、「音の効果的活用法」が神業で、見る者の体震わすエフェクトとしては、十分過ぎる出来になっている。そうですね、どこかウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」に似ていますね。神経を逆なでする「サド・マゾ趣味」の持ち主なら、感動のあまり嗚咽するのではないか。最後に、主人公が超能力の持ち主ではなく、殺人術のプロでもない。ただの、刑事であるというキャスティング、これまた米国映画の人気ジャンルを研究し尽くした結果が出ている。まぁ、トム・サイズモア(「プライベート・ライアン」、「ヒート」)の無骨な顔が2時間映るのですから、あまりフェロモンというか、女性客からは無視される配役ですが(笑)。
監督はピーター・ハイアムズ。重鎮の一人ですね。お察しのとおり、この人はムラが多すぎる気がする。「カプリコン1」は拍手喝采でしたが、「サドンデス」やら「タイムコップ」は、一度レンタルしてみればお役目終了。変に流行の「ダイハード」やら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に色気を出して、俺の映画哲学はこうなんだ!と意気込むから、失敗に終わった。この頃の「粋な職人」と呼ばれていた、ジョン・バダム、ジョー・ダンテ、ジョン・ランディスあたりの玄人サンは、最近いい噂を耳にしませんね。結局、この連中の旬は過ぎ去っており、今のところサイモン・ウェストやらトロイ・ダフィーという「大作路線」の志向を目指す人たちに政権交代しているということかな。
よくも悪くも「ジュラシックパーク」のホラー版という汚名は否定し難くて、甲虫と爬虫類と哺乳類の混血児が、人間の脳下垂体を食らってサバイバルするという、”人気映画のおいしい所取り」という指摘は正しいと思います。ですが、この「博物館」という閉所で殺し合いが横行し、自由ある外へ脱出するまでの手順が絶妙なのですね。もっとも、あんな可燃物の薬品が安易に入手できる博物館側の管理体制には失笑してしまいます。しかし、ホラー映画最大の重要懸案である「こわい」の一言には感動しましたし、何より、「猿の惑星」とか「エイリアン」にある”地球の長はもはや人類ではない”たる説法合戦が皆無である。こういう、お気楽さこそ、活動写真の真実ではないかな。少なくとも、huluで見た中では、最高傑作でもあります。そりゃあ「ハロウィン6」が相手では、決着が見えているのも、当然ではないかな。DVDで見つけられたら、一度ご鑑賞を。総括して5段階評価でAとします。
5段階評価=★★★★★ 見た媒体=hulu


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